「離婚したいのに相手が話を聞いてくれません。お金や子どもの条件も決まらず、何から進めればよいでしょうか」
先日、このような趣旨のご相談をいただきました。
結論からいうと、「離婚するかどうか」と「離婚後の条件」のどこで話が止まっているかを分けると、次に取る方法が見えてきます。同じ話し合いを繰り返す以外にも、代理人を通した交渉や家庭裁判所の調停を検討できます。
ただし、暴力や脅迫があり、話を切り出すこと自体が危険なときは、二人での話し合いを優先しないでください。差し迫った危険には110番、避難や生活の相談には配偶者暴力相談支援センターなどを利用し、安全な場所と連絡方法を確保します。
このページでは、相手が離婚に応じない場合の進め方、届出前に決める条件、別居中の生活費、合意の残し方、相談前に用意するものを解説します。
相手が離婚に応じないときは、どう進める?
相手が拒否しているのは離婚そのものなのか、金銭や子どもの条件なのかを確認します。メールなどに意向が残っていれば保存し、合意できた点とできない点を簡単にメモしておきましょう。
二人では話せない、連絡を無視される、話すたびに威圧される場合は、代理人を通した交渉や家庭裁判所の離婚調停を検討できます。調停では調停委員を介して話し合います。相手に離婚を強制する手続ではありませんが、対面で交渉を続ける以外の方法があります。
調停でも合意できず離婚を求める場合は、訴訟を検討します。裁判で離婚が認められる理由があるか、別居の経緯や夫婦関係の状況などを確認します。「拒否されたら終わり」「調停を申し立てれば必ず離婚できる」のどちらでもありません。
離婚届を出す前に、何を決める?
「早く終わらせたい」と思っても、住む場所や毎月のお金が決まらないままでは、離婚後すぐに困ることがあります。すべてを一度に解決できないときも、何を決め、何を後の協議に残すのかを明確にします。
- 住まい:誰が住み続けるか、退去日はいつか、家賃や住宅ローンは誰が払うか。
- 子どもの生活:親権、主に暮らす場所、養育費、親子交流、学校との連絡をどうするか。
- お金と財産:預貯金や家の分け方、慰謝料、年金分割について何を決めるか。
2026年4月以降は離婚後の共同親権も選択肢になっています。親権の名称だけ決めればよいわけではなく、日々の養育を誰が担い、必要な連絡や判断をどう行うかまで考えます。詳しくは養育費と親権の決め方を確認してください。
別居中の生活費が足りないときは、どうする?
別居していても婚姻中であれば、夫婦や未成熟の子の生活費について、婚姻費用の分担が問題になります。「離婚が決まるまでお金の話はできない」と我慢する必要はありません。
自分と相手の収入、家賃、子どもの生活費、これまで受け取った金額を整理します。話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の婚姻費用分担調停を利用できます。別居を始めた時期や、支払いを求めたやり取りも残しておきましょう。
離婚条件の合意は、どう残す?
合意書には金額だけでなく、期限、振込先、分割払いの回数などを具体的に書きます。住宅ローンがある場合、夫婦の合意だけで銀行との契約者や保証人が変わるわけではありません。財産分与と住宅ローンの整理も合わせて確認します。
支払いが止まったときに備える方法として、内容に応じて公正証書や調停調書などを検討します。相手が持ってきた書面に「ほかには何も請求しない」といった条項がある場合は、まだ決まっていない事項まで含まれないかを確かめてから署名しましょう。
相談前に何を用意する?
「離婚を切り出すのが怖い」「家を出たいが生活費がない」「養育費の話だけ決まらない」。最初は、その悩みからで大丈夫です。相手とのやり取りや提示された合意書があれば、解決済みの点と残る点を整理する手がかりになります。
まとめ
まず、離婚そのものと離婚後の条件のうち、どこで話が止まっているかを書き出してください。
相手とのやり取り、提示された合意書、別居後の収入と支出は、消さずに保存しましょう。決まった条件は、金額だけでなく期限や支払方法まで書面に残します。
暴力や脅迫がある場合は、話し合いより安全確保を優先してください。離婚するか迷っている段階でも、今後の選択肢を確認できます。
何を先に決めるべきか迷うときは、いま止まっていることから一緒に整理しましょう。
