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逸失利益とは?発生する条件や計算方法などわかりやすく解説

逸失利益とは、交通事故に遭わなければ、将来得られたであろう収入のことを指し、前記の収入は交通事故の加害者に請求をすることができます。

 

逸失利益という言葉は聞いたことがあるが、どのような場合に請求することができるのかを知りたいといったご相談を多く受け付けます。

 

本ホームページでは、逸失利益の発生条件や計算方法などについて詳しく解説をしていきます。

 

◆逸失利益とは
冒頭で逸失利益について簡単に説明をしましたが、ここでさらに深く掘り下げていきます。
逸失利益とは、上記の通り交通事故がなければ得られたであろう将来の収入を指し、それらの補償を受けるために、被害者側から加害者に請求をすることができます。

 

逸失利益には「後遺障害逸失利益」と「死亡逸失利益」の2種類があります。

 

●後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、交通事故により後遺障害が発生した場合の逸失利益を指します。
例えば、後遺障害の発生によって、事故前にはできていた労働が全くできなくなったり、就労内容の一部しかできなくなってしまうということがあります。
このような場合に、労働ができなくなった度合い(後遺障害の症状)に応じて、将来得られるはずだった収入金額を、逸失利益として請求をすることができます。
もっとも、後遺障害があっても、実際の収入が減少しなかった場合、すなわち就労につき特段の支障が生じなかったようなケースについては、原則として逸失利益は認められません。

 

●死亡逸失利益
死亡逸失利益とは、事故により死亡した場合の逸失利益を指します。
被害者が死亡してしまうと、事故後にできるはずであった労働が一切できなくなるため、その分の収入についての請求をすることとなります。
死亡という言葉からわかる通り、当然のことながら被害者本人ではなく、遺族が請求をすることとなります。
ただし注意しなければならないのが、事故後に死亡被害者本人の生活費が不要になり、その分まで請求をしてしまうこととなれば加害者に不利益をもたらせてしまうため、将来取得できるはずであった収入の全てが支払われるわけではありません。
死亡被害者本人の生活費については、後述の逸失利益の計算方法にて詳しく説明します。

 

◆逸失利益と休業損害、慰謝料の違い
休業損害とは、事故により労働ができなくなった分の収入を相手方に請求するものであるため、逸失利益と似た概念ではありますが、厳密には違うものとなっています。

 

両者の違いは、逸失利益は症状固定後の収入減少を補償するものであるのに対し、休業損害は症状固定前の収入減少を補償するものとなっています。

 

症状固定とは、これ以上治療をしても症状が改善しない状態を指します。症状固定となった段階で後遺障害の有無が確定するため、症状固定となるまでは、逸失利益を請求することができません。

 

休業損害とは症状固定までの期間で仕事ができなかった分の利益を相手方に請求することであり、逸失利益とは症状固定後に遂行できなくなった自身の業務の減少した収入を相手方に請求することを指します。

 

また、後遺障害が認定されると、逸失利益の他に、後遺障害慰謝料も請求することができます。
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことにより生じる精神的苦痛に対する賠償金です。後遺障害慰謝料は後遺障害等級の認定を受けることで、請求することができます。そしてその額は後遺障害の程度に応じて変わってきます。
慰謝料はあくまで精神的苦痛に対する賠償であり、逸失利益とは全く違う概念となっています。

 

◆逸失利益の計算方法
●後遺障害逸失利益の計算式
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数=後遺障害逸失利益
となります。

 

基礎収入は、原則として事故前の1年間の収入を基準に判断することとなります。
これは職業によって少し内容が異なり、サラリーマン、自営業・フリーランス、主婦・主夫、高齢者、子ども、失業者など、被害者の属性によって大幅に変わります。
理由としては、職業によって収入そのもの自体の額が大幅に変わり、また被害者自身の年齢によっては収入の計算が難しい場合があるからです。

 

労働能力喪失率は、後遺障害によって労働する能力がどの程度下がったかを表すものとなっています。後遺障害には等級というものがあり、小さい数字であるほど重度な後遺障害となっています。
等級が重くなるほど、生じている後遺障害が重度なものであるため、労働への影響も大きくなっていきます。
労働能力喪失率は後遺障害等級と実際に低下した労働能力を数値化したものとなっています。

 

具体的には、後遺障害等級に応じてパーセンテージが固定されているため、もっとも重い第1級から第3級までが100%で、以降は徐々に減少していき、もっとも軽い第14級では5%となっています。

 

労働能力喪失期間とは、後遺障害によって労働能力が制限される期間のことであり、症状固定から67歳になるまでの年数が原則となっています。
18歳未満の子どもである場合には、18歳から67歳までの年数を計算することになり、大学生である場合には、大学卒業後から67歳までの期間で計算をすることとなります。

 

67歳になるまでの年数が短い場合には、平均余命の2分の1か67歳までの年数のいずれかで計算を行い、いずれか長い方を用いて計算を行います。

 

67歳をすでに超えている場合には、平均余命の2分の1で計算を行います。

 

ライプニッツ係数とは、中間利息控除に基づき、もらい過ぎを防ぐためにあらかじめ利息を除いて計算をするための数値のことを指します。

 

逸失利益は原則として、全額が一括で支払われます。逸失利益は将来についての収入を前倒しで受け取ることとなるため、全額について利息が発生していることとなります。その結果として本来は発生していないはずの利息を余分に受け取ってしまうことになるので、被害者に必要以上の利益が与えられることになります。
これがライプニッツ係数により控除される利息となります。

 

中間利息控除では、原則として年利3%で控除した計算をすることとなります。

 

●死亡逸失利益
基礎収入×(1-生活費控除率)×労働可能年数に対するライプニッツ係数=死亡逸失利益

 

事故で被害者が死亡すると、その後の被害者分の生活費は不要となります。しかし、逸失利益の請求の際に被害者の分の生活費まで加害者に請求することは、加害者にとって不利益をもたらすことになります。
生活費控除率とは、この被害者分の生活費を差し引いて逸失利益を計算するための指標となっています。

 

この割合は被害者の家庭内での立場によって変わります。
家族内での立場とは具体的には、一家の父、母、子どもなどといった地位のことを指します。

 

中野・田中法律事務所は大阪市北区を中心に大阪府内の法務を取り扱っております。インターネット問題、交通事故、不動産問題、労働問題、債務整理、離婚など多岐にわたる分野を専門としております。
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田中 涼Ryo Tanaka

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所属団体
  • 大阪弁護士会(登録番号 45477)
著書
  • 「弁護士の顔が見える 中小企業法律相談ガイド」
    大阪弁護士会協同組合企画編集
経歴
  • 昭和56年 出生(大阪府箕面市)
  • 平成12年3月 桃山学院高校卒業
  • 平成14年9月ポートランド州立大学に留学
  • 平成17年3月 早稲田大学人間科学部卒業
  • 平成20年3月 大宮法科大学院修了
  • 平成22年9月 司法試験合格
  • 平成22年11月 司法修習生(64期)
  • 平成23年12月 弁護士登録(大阪弁護士会)、坂東・田中法律事務所に就職
  • 平成25年9月 アパレルメーカーに転職(兵庫県弁護士会)
  • 平成27年1月 当事務所に復職

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