「自分の名前を検索すると中傷記事が出ます。掲示板には住所も書かれ、削除を頼んでも返事がありません。どうすれば消せますか?」
先日、このような趣旨のご相談をいただきました。
結論からいうと、問題のある箇所と前後の文脈を保存し、投稿先の窓口へ対象と削除理由を具体的に伝えることから始めます。
ただし、自宅への来訪予告など身体に危険が及ぶ内容なら、削除の結果を待たず警察へ相談してください。今まさに危険がある場合は110番です。
このページでは、証拠の残し方、削除理由の整理、運営者への申請、削除されない場合の対応を順に説明します。
消してほしい文章と、その前後を一緒に残す
投稿者が内容を書き換えたり、運営者が削除したりすると、後から被害を説明しにくくなります。対象ページのURL、投稿者名、投稿日時、確認日時と画面全体を保存してください。長い記事なら、問題の部分だけでなく前後の文脈も残します。
検索結果に出ている場合は、検索語と表示画面も保存します。画像や動画は元のファイルが保存できる範囲で残し、資料には書き込みや加工をせず、説明用のコピーを別に作ると経緯を追いやすくなります。被害が大きいのに全件を拾えない場合は、まず目立つ投稿と拡散元からで構いません。
「不快だから」から一歩進めて、削除理由を説明する
依頼文では、記事全体を悪質だと述べるだけでなく、対象の一文と被害を対応させます。例えば、身に覚えのない横領を断定している、公開していない自宅住所が載っている、本人と分かる写真が私生活の説明とともに使われている、といった整理です。
- 事実と違う記載:どの点が違うか、契約書や記録で説明できるか
- 私生活の情報:何が公開され、これまで自分で公開していたか
- 本人を特定できる記載:実名がなくても勤務先や写真から分かるか
正当な批評や公共性のある報道もあるため、否定的な内容がすべて削除対象になるわけではありません。事実だから必ず残る、嘘だから必ず消えると決めつけず、記載の内容と掲載の目的を読み解きます。
運営者への申請は、対象URLと理由を絞って送る
SNSや口コミサイトには、規約違反の通報や権利侵害の申告窓口があります。公式の窓口を確認し、対象URL、問題箇所、自分との関係、削除を求める理由を入力します。身分確認が求められる場合も、提出先と必要な範囲を確認しましょう。
公開掲示板に削除依頼を書く方式では、依頼文自体が他人に見える場合があります。住所や電話番号を説明のために再掲してしまわないよう注意してください。送信内容、受付番号、運営者の回答を残しておくと、再申請や次の手続で同じ説明を最初から繰り返さずに済みます。
返事がない、拒否された場合は次の手段を検討する
削除されなかったら、まず回答理由と申請内容を照合します。対象が特定できていないのか、規約違反ではないとされたのかで、補足すべき情報は変わります。長文を何度も送り直すより、未検討の箇所や証拠を整理することが大切です。
任意の対応で止められない権利侵害については、裁判所に削除の仮処分を求める方法があります。申立てでは侵害の内容に加え、急いで対応する必要性を具体的に示します。仕事への支障、本人への連絡、拡散の状況も記録しておきましょう。
元記事の削除と検索結果への対応は別になる場合があります。引用先や転載先があるなら、それぞれのURLも把握しておくと、どこまで対応するか決めやすくなります。
投稿者への請求も考えているなら、最初に伝える
削除だけで終えたいのか、繰り返す相手を特定して責任を求めたいのかで準備が変わります。開示手続は投稿を削除する手続ではなく、通信記録の保存にも時間の制約があります。詳しくは匿名の投稿者を特定できる条件をご覧ください。
相談するときは、対象URLと「いちばん困っていること」をお伝えください。既に削除申請をした場合は、その文面と回答も確認し、補足申請で進めるか裁判手続が必要かを考えます。
投稿の削除を求める通知が届いた側は、対象と根拠を確認する
サイト運営者からの通知、相手方弁護士からの削除要求、裁判所の書類では、対応方法と期限が異なります。届いた文書と封筒を保存し、どの投稿の、どの表現について、何を求められているのかを確認してください。
焦って投稿やアカウントを消す前に、対象投稿、前後のやり取り、投稿時に確認していた資料を保存します。公開を続けるかどうかと、後で説明するための資料を残すことは分けて考えます。
削除に応じても、開示請求や慰謝料請求が当然に終わるわけではありません。削除、謝罪、金銭の支払いを一度に求められている場合は、認める範囲と解決する範囲を整理します。詳しくは開示請求・意見照会を受けた側の対応も確認してください。
まとめ
まず、消してほしい箇所だけでなく、URL、投稿日時、前後の文脈を保存してください。
次に、対象となる文章と被害を対応させ、公式窓口へ削除理由を具体的に伝えます。
削除されない場合や投稿者への請求も考える場合は、申請文と回答を持って相談してください。何を優先するか、一緒に整理しましょう。
