交通事故の種類（物損事故・人身事故）

交通事故には2種類あり、物損事故と人身事故に分けられます。
そして物損事故と人身事故では、あらゆる観点から加害者の責任の内容が異なります。

物損事故の場合には、飲酒運転や速度超過によるものでない限りは刑事責任を負うことはありません。
そして免許の取り消しや減点といったような行政責任も原則として課されることはありません。
もっとも、物損事故ということは被害者の車をはじめ、何かしらの所有物に対して損害が生じているため、民事訴訟によって損害賠償責任を負います。

具体的には車の修理代、代車費用、レッカー代といったような事故直後からその後に至るまでの賠償の他、タクシーやバスが破損した場合は修理期間や買い替え期間の間に営業会社に生じたであろう収入や利益の賠償、トラックとの事故の場合に積載されていた荷物が破損した場合や通常車との事故でパソコンやスマートフォンなどが破損した場合にもそれらに対する賠償が認められます。

しかしながら物損事故の場合には、相手方に過失がある場合には、過失相殺によって賠償額を減額することも可能となっています。
また、事故が起きたら直ちに損害額に関する裁判が行われるわけではなく、相手方の契約している保険会社と話し合うことで、示談交渉を行い、和解を目指すということもできます。この過程を経て、示談金についてまとまらなかった場合に、調停や訴訟といった司法の判断に委ねることとなります。

他方で、人身事故は物損事故とは異なり、刑事責任と行政責任が課せられます。
一般的な人身事故の場合であれば「過失運転致死傷罪」が適用されます。条文には以下の通りに規定されています。
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。

ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」

上記の通り、注意義務違反による人身事故の場合には7年以下の懲役または禁錮、100万円以下の罰金が科せられます。

もっとも、被害者の障害の程度が軽い場合には刑が免除されるということもあります。

また飲酒運転や速度超過などの悪質な人身事故の場合には「危険運転致死傷罪」が適用されます。危険運転により人を負傷させた場合には15年以下の懲役、死亡させた場合には1年以上の有期懲役を科せられます。上記の過失運転よりも明らかに刑の程度が重くなっているのがわかると思います。

また、行政責任では、免許の減点の程度が被害者の過失の有無によって変わってきます。

そして、民事責任による損害賠償責任の場合に、怪我の治療費はもちろんのこと、精神的障害や怪我による休職期間中の休業損害の支払いも求められます。

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