「日本語の契約書がよく分からず、約束より給料が少ないです。会社からは、辞めたら日本にいられないと言われました。どこへ相談できますか」
先日、このような趣旨のご相談をいただきました。
結論からいうと、日本語でうまく説明できなくても相談できます。外国人であることを理由に、会社が労働基準法を守らなくてよいわけではありません。
ただし、給料や勤務時間の問題と、退職・転職に伴う在留資格の手続は分けて確認する必要があります。在留資格によって働ける仕事や必要な届出が異なります。
このページでは、残すべき勤務記録、会社の説明を確かめる方法、在留資格の相談先、外国語で相談するときの準備を解説します。
給料と勤務時間を、自分の記録でも残す
雇用契約書や労働条件通知書、給与明細、銀行口座への入金を確認します。日本語の書類をすべて読めなくても、そのまま保存しておけば相談の資料になります。母国語の説明書や、採用時のメッセージも残してください。
毎日の仕事の始まりと終わり、休憩時間、担当した仕事をメモします。会社の勤怠記録と違うときは、その理由も書いておきましょう。日本語で書くことが難しければ、まず自分が説明できる言葉で記録することが大切です。
- 約束した給料と、実際に受け取った金額
- 働いた日、時間、休みの状況
- 家賃、食費、紹介料など、給与から引かれた項目
- 会社の担当者に質問した内容と返事
「外国人だから」「研修だから」という説明を確認する
日本の労働基準法は、外国人の労働者にも適用されます。最低賃金、賃金の支払い、労働時間などのルールを、国籍だけを理由に外すことはできません。技能実習という名前でも、労働者として働く場面では労働関係法令の保護を受けます。
「残業代は出ない契約」「途中で辞めたら決まった額の罰金」と言われた場合も、その説明を鵜呑みにせず、契約書と実際の働き方を確認します。契約違反に対する違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることは、労働基準法で禁止されています。ただし、実際の損害について争いが生じることとは分けて考えます。
給料そのものが入らない場合は、未払い給与の確認と請求で、必要な資料を紹介しています。
在留資格が心配でも、会社の説明だけで決めない
「辞めたら必ず帰国になる」と言われても、会社が一方的に在留資格を取り消せるわけではありません。一方、退職や転職に伴う届出、働ける仕事の範囲は在留資格によって違います。別の会社ですぐに同じように働けるとは限らないため、入管の相談窓口などで確認してください。
相談時は、在留カードに書かれた在留資格と期限、雇用主、紹介会社や監理団体の有無を伝えます。在留資格の判断と、すでに働いた給与を受け取る問題は同じではありません。住む場所が会社の寮だけで、退職すると行き先がない場合も、最初にその事情を伝えましょう。
日本語が不安なら、対応言語を確認して相談する
厚生労働省の外国人労働者向け相談窓口や、労働条件相談ほっとラインには、外国語で相談できる窓口があります。言語ごとに受付曜日や時間が違うため、公式の相談先一覧を確認してください。
給料や労働時間の法令違反は労働基準監督署、解雇や嫌がらせなど幅広い問題は労働局の相談窓口も利用できます。どの窓口か分からない場合は、起きていることを伝えて案内を受けましょう。会社の許可を取らなければ相談できないものではありません。
相談を申し込むときは、使いたい言語と困りごとを伝える
弁護士へ相談する場合も、使用する言語、通訳の同席を希望するか、資料の言語を先に伝えると、準備を確認できます。当事務所の対応言語や通訳の手配が可能かは、お問い合わせの際にご確認ください。
「給料を受け取りたい」「会社を辞めたい」「今の職場で安全に働きたい」など、希望は短い言葉で構いません。会社との次の面談日や、署名を求められた書類があれば一緒にお知らせください。必要な説明を受けてから、次の行動を考えましょう。
まとめ
まず雇用契約書、給与明細、入金履歴、働いた時間、会社とのメッセージを、読めない書類も含めて保存してください。
外国人や研修中という理由だけで、賃金や労働時間のルールがなくなるわけではありません。内容の分からない退職届や合意書には急いで署名しないようにします。
退職や転職を考えるときは、会社の説明だけで決めず、在留資格と必要な届出を入管の窓口などで確認しましょう。
使いたい言語と「給料を受け取りたい」「安全に辞めたい」などの希望を伝え、どの問題から対応するか一緒に整理しましょう。
