「保険会社から『あなたにも2割の過失がある』と言われました。警察では相手が悪いと言われたのに、誰がこの割合を決めるのでしょうか?」
先日、このような趣旨のご相談をいただきました。
結論からいうと、警察が民事上の過失割合を最終決定するわけではありません。当事者間の交渉で合意を目指し、解決しなければ裁判などで判断を求めます。
ただし、割合への反論は数字だけでなく、信号、進路、速度、停止位置など、保険会社が前提にした事故状況によって変わります。
このページでは、提示の根拠の聞き方、事故状況と映像の残し方、割合が損害額へ与える影響、相談前に用意する資料について解説します。
提示された割合と一緒に、根拠を聞く
「一般的にこの事故はこの割合です」と説明されたら、どのような事故の型を想定しているのかを尋ねます。直進車と右折車なのか、進路変更なのか、一時停止規制のある交差点なのかで、検討の出発点が変わります。
そのうえで、信号、速度、進入位置など、今回の事故で考慮した事情を確認します。相手の説明する図と自分の記憶が違うなら、割合の話をする前に食い違う場所を示しましょう。相手の主張をそのまま自分も認めた状態にしないことが大切です。
事故の前・衝突時・衝突後を分けて整理する
- 事故の前:双方の進行方向、車線、信号、見通し、停止や減速の有無。
- 衝突した時:接触場所、車のどの部分が当たったか、気づいた距離。
- 衝突した後:停止位置、路面の痕跡、相手との会話、目撃者。
手描きの図で十分です。覚えている事実と、後から推測したことを分けて書いてください。「必ず相手がスピードを出していたはず」と補うより、「この位置で初めて見えた」と説明する方が、資料との照合を進めやすくなります。
映像は上書きされる前に、前後も含めて保存する
ドライブレコーダーは、衝突の瞬間だけでなく、その前の信号や走行状況が大切です。元のデータを残し、編集した短い動画だけにならないようにしてください。時刻表示のずれがある場合も、そのことを記録します。
防犯カメラや目撃者の情報は、警察や保険会社へ早めに伝えます。店舗に映像の保存をお願いする場合も、無断で機器を操作したり、提供を強要したりせず、事故日時と場所を説明しましょう。交通事故証明書だけで、信号や衝突状況のすべてが分かるわけではありません。
割合が変わると、双方の損害に影響する
単純な例として、自分の損害が100万円で自分の過失を2割とするなら、相手への請求を考える基礎は80万円になります。ただし、実際の受取額には既払金や保険の扱いも関わります。相手にも車の損害があれば、自分が負担する側の問題も別に生じます。
「1割譲れば早く終わる」と考えるときも、何円の違いになるか、けがと車の双方にどう影響するかを見てから判断してください。割合だけ先に了解し、後で損害額を確認する進め方には注意が必要です。
反論がまとまらなければ、事故図と提示内容を相談する
双方に過失があるという説明を受けた場合は、自分の保険会社へも、こちらの認識と保険会社の説明が一致しているかを確かめます。自分が渡した映像や写真を担当者が見ているか、相手へどの事実を伝えたかを聞くと、追加で必要な対応が分かることがあります。
必要なのは専門用語での反論ではなく、事実の違いを示すことです。提示された割合、説明された理由、自分が違うと思う点を持って相談してください。手元の映像や写真から、どの点を交渉で確認すべきかを整理できます。
示談書まで届いているなら、その書類も一緒に確認します。事故状況に争いがあるまま、金額だけで合意しないようにしましょう。示談の内訳と署名前の確認項目もあわせてご覧ください。
まとめ
過失割合に納得できないときは、まず保険会社へ、どの事故状況と具体的事情を前提にした数字なのか尋ねてください。
次に、事故前、衝突時、衝突後を分けて図にし、映像、写真、目撃者などの資料を確保しましょう。
割合は自分の損害の減額だけでなく、相手の損害を負担する範囲にも影響します。金額への影響を見ないまま、割合だけを先に合意しないことが大切です。
反論の言葉がまとまらなくても、提示内容と事故図をお持ちください。どの事実を確認すべきか一緒に整理しましょう。
