「返済を続けるのはもう苦しいのですが、自己破産をすると家や仕事を失い、家族にも借金の責任が及ぶのでしょうか」
先日、このような趣旨のご相談をいただきました。
結論からいうと、自己破産をしても生活に必要なものまで一切失い、すべての仕事ができなくなり、家族が当然に返済義務を負うわけではありません。財産、職種、保証人の有無を一つずつ確認します。
ただし、持ち家や価値のある財産、家族が保証人になっている借金、一部の職業・資格には影響が生じる場合があります。税金や養育費など、免責後も支払いが残るものもあります。
このページでは、自己破産を検討する目安、家・車・預貯金、家族と保証人、仕事への影響、借入れの理由、相談前に用意するものを解説します。
自己破産を検討するのは、どんな状態?
家賃や食費を削っても支払いが追いつかない。返済のために借りる先を探している。病気や失業で、以前の収入に戻る見通しが立たない。こうしたときは、今月の支払いをしのぐ方法だけでなく、返済義務を整理する方法を考えます。
自己破産では、財産を整理する破産手続と、残る借金の支払責任を免除するかを判断する免責手続を進めます。税金や養育費などは免責後も支払義務が残るため、カードやローンと分けて一覧にしておくと、その後の生活費を考えやすくなります。
家・車・預貯金はどうなる?
持ち家や価値のある財産は、売却などによって借入先への支払いに充てる対象になります。一方、生活に必要な家財まで一切なくなるわけではありません。「全部失う」とまとめて考えず、何を持っているかを一つずつ確認します。
- 持ち家:所有名義、住宅ローン残高、家の価値を確認します。
- 車:所有名義、ローンの有無、査定額、仕事や通院での使い方を確認します。
- 預貯金・保険:口座残高のほか、解約すると戻るお金があるかを確認します。
家を残すことを優先したいなら、収入や返済額によっては個人再生と住宅ローンの扱いも比較します。相談前に財産を家族名義へ移したり、処分して現金を隠したりせず、現状をそのまま伝えてください。
家族に返済義務や財産への影響はある?
自己破産は本人の手続です。家族が自分のお金で持っている財産まで、本人の財産として一律に処分されるわけではありません。
ただし、家族が保証人や連帯保証人になっている借金は別です。本人が免責を受けても保証人の支払義務は残ります。「家族に知られたくない」という希望がある場合も、まず保証の有無を確認し、どの連絡や請求が生じるかを考えます。
家族名義の口座でお金を管理している、家の購入費を家族と出し合った、といった事情も伝えてください。名義だけでは分からない財産の関係を整理するためです。
仕事は続けられる?
自己破産によって、すべての仕事ができなくなるわけではありません。ただし、警備員など、一部の職業や資格には破産手続開始後から復権までの制限があります。職種だけでなく、実際に担当している業務と使っている資格を確認します。
職場から借りているお金がある、給与の差押えに関する書類が届いた、勤務先への連絡が心配。こうした事情があれば最初に伝えてください。仕事への影響を考えるうえで、資格の制限とは別に確認する必要があります。
ギャンブルや浪費の借金はどうなる?
ギャンブルや買い物が原因だから、相談しても無駄だと思い込む必要はありません。浪費などは免責を認めない理由になり得ますが、裁判所が経緯などを考慮して免責を許可する場合もあります。
大事なのは、借金が増えた経緯やお金の使い道を正確に説明することです。請求書、通帳、利用明細を捨てずに残しておきましょう。親族や特定の借入先だけへ先に返済しようとしている場合も、実行前にその予定を伝えてください。
相談前に何を用意する?
最初は、借入先とおおよその残高、毎月の収入、いま一番心配なことが分かれば話を始められます。裁判所の書類や督促状が届いている場合は、期限が書かれているかも確認しておいてください。
「家をどうするか」「仕事に影響しないか」を確かめてから決めたい、という段階でも構いません。ほかの債務整理の方法も比較できます。
まとめ
まず、借入先と残高、毎月の収入、生活費、持っている財産を分かる範囲で書き出してください。
家、車、預貯金への影響は、名義や価値、ローンの状況によって変わります。相談前に名義を変えたり財産を隠したりせず、現状をそのまま伝えましょう。
家族が保証人でなければ、本人の借金を当然に支払うわけではありません。仕事については、職種と実際に使う資格を確認します。
自己破産すると決めていなくても、生活を続けられる方法を一緒に整理しましょう。
