「入居者から『来週払う』と言われたまま、また翌月になりました。いつまで待つべきでしょうか。もう退去を求めることはできますか」
先日、このような趣旨のご相談をいただきました。
結論からいうと、まず月ごとの滞納額と連絡経過を確定し、支払いの再開を求めるのか、契約を終わらせて明渡しを求めるのかを分けて考えます。
ただし、契約解除が認められるかは、滞納期間だけでなく、金額、催告への対応、これまでの支払状況などによって変わります。鍵交換や荷物の処分で先に退去させることは避けてください。
このページでは、滞納額の整理、催告、保証会社・保証人への連絡、明渡しを検討する順序について解説します。
最初に「何月分が、いくら足りないか」を一枚にする
催促する前に、契約書の支払日と通帳の入金を照合してください。家賃、共益費、更新料などを分け、請求額・入金日・入金額・残額を月ごとに並べます。後からまとめて入金された場合も、どの月の支払いに充てたかを確認します。
管理会社が集金しているなら、貸主の口座に振り込まれていないだけなのか、借主が払っていないのかも切り分けます。金額が食い違ったまま解除の通知を出すと、解決を遠ざける原因になります。
- 賃貸借契約書と更新時の書類
- 入金履歴、管理会社の送金明細
- 保証会社の契約書、連帯保証人の記載
- 借主に連絡した日と返答の記録
支払日の約束を繰り返すなら、書面で区切りをつける
最初の遅れであれば、振込忘れや入金の行き違いを確認します。支払いの約束をしたら、「○月分の○円を○日まで」と対象と期限を明確にして、メールなどに残しましょう。
約束が守られない場合は、滞納額と支払期限を記載した催告を検討します。内容証明と配達証明を使うと、通知内容や到達を記録する助けになります。ただし、内容証明を送っただけで借主が退去する義務まで確定するわけではありません。
分割払いを受け入れるときは、過去の滞納分だけでなく、今後の毎月の家賃も払える計画かを確認します。今月分の支払いがないまま分割額だけ入ると、滞納総額が減らないこともあります。
保証会社・保証人への連絡は契約を確認して進める
保証会社を利用している場合、滞納報告の期限や必要書類が定められていることがあります。借主との話し合いを続けている間に報告期限を過ぎないよう、管理会社にも確認してください。
連帯保証人については、署名のある契約書、保証の範囲、契約時期、極度額の定めなどを確認します。「家族だから」という理由だけで、契約上の保証人でない人に支払義務が生じるわけではありません。勤務先や近隣に滞納の事実を広める対応も避けます。
何か月の滞納なら解除できる、と機械的に決めない
契約を終わらせる段階では、滞納期間と金額、催告への対応、以前からの支払状況などを見て、解除が認められるかを検討します。契約書に解除条項があっても、記載された条件だけで直ちに明渡しまで進められるとは限りません。
解除後も退去しない場合には、建物明渡しと滞納賃料の請求について裁判手続を考えます。判決などを得ても任意に明け渡されなければ、執行官による強制執行が必要です。鍵交換、無断入室、荷物の処分で先に解決しようとすると、貸主側が責任を問われる問題につながります。
「待つか、退去を求めるか」で迷う段階から相談できる
「できれば住み続けてもらいたい」「これ以上の滞納は困る」など、貸主としての希望もお伝えください。支払いの見込み、保証の利用、明渡しに必要な手順を並べると、次の連絡で何を伝えるべきかが見えてきます。
連絡が途絶えた、第三者が住んでいる、荷物だけ残っている場合は、その状況も重要です。まず契約書と入金履歴、最後のやり取りが分かるものをご用意ください。
まとめ
まず契約書と入金履歴を照合し、何月分がいくら不足しているかを一覧にしてください。
支払期限を区切って催告するときは、対象月、金額、期限を明記し、送った内容と到達の記録を残します。
解除や明渡しを考える場合も、鍵交換や無断処分はせず、滞納の経過と借主の対応を踏まえて手順を選ぶことが大切です。
待つべきか、回収と明渡しを進めるべきか迷っている段階から、契約書と入金履歴をもとに一緒に整理しましょう。
