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不動産問題

家賃を値上げしたいオーナーへ|根拠のそろえ方と交渉の進め方

「固定資産税や管理費が上がり、今の家賃では負担が重くなりました。周辺より安いので値上げしたいのですが、どんな根拠が必要ですか」

先日、このような趣旨のご相談をいただきました。

結論からいうと、希望額を通知する前に、税負担、経済事情、近隣の同種物件との比較などから、現在の家賃がなぜ不相当になったのかを資料で示せるようにします。

ただし、値上げの理由があることと、希望額が妥当であることは別の問題です。契約の特約や比較物件の条件、これまでの契約経過も確認します。

このページでは、値上げ根拠のそろえ方、相場の見方、借主への伝え方、合意できない場合の手順を解説します。

目次

「収支が厳しい」を、家賃見直しの根拠に置き換える

建物の家賃について、借地借家法は、税金などの負担、経済事情、近隣の同種物件の家賃との比較により、今の額が不相当になった場合の増減額請求を定めています。貸主が利益を増やしたいという希望だけで、提示額が当然に認められるわけではありません。

  • 固定資産税などが、家賃を決めた頃からどれだけ変わったか
  • 近隣の似た物件と比べ、どの程度の差があるか
  • 前回の家賃改定はいつで、どういう経緯だったか
  • 設備や建物の状況、契約条件に違いがあるか

修繕費がかかったからといって、その全額をそのまま家賃に上乗せできるわけではありません。建物の維持に必要な工事か、価値を高める工事かも分けて考えます。

相場は、近所の一番高い募集物件で決めない

同じ駅でも、築年数、面積、階数、設備、用途、駅からの距離が違えば賃料も変わります。募集賃料と実際に契約されている賃料にも差があるため、広告を一件見つけただけで適正額が決まるものではありません。

比較する物件を複数挙げ、条件の違いを整理してください。長く続く賃貸借では、現在の募集相場だけでなく、これまでの契約経過も検討します。差が大きい、借主と見解が合わない場合には、不動産鑑定など専門的な検討が必要になることもあります。

通知前に、増額しない特約や定期借家の条項を読む

一定期間は家賃を増額しないという特約がある場合は、その定めを確認します。定期借家契約で賃料改定に関する特約がある場合も、通常の増減額請求とは扱いが変わります。契約書と更新・変更の合意書を一緒に見直してください。

借主へ提案するときは、変更を希望する額、開始時期、理由を具体的に示します。提案なのか法的な増額請求として通知するのかによっても意味が変わるため、文面と到達日を残すことが大切です。更新時期でなければ検討できない、というものでもありません。

借主が応じないときは、滞納扱いを急がない

提示した新家賃が振り込まれないからといって、差額を直ちに滞納として退去を迫るのは適切ではありません。増額について争いがある間の支払いには借地借家法上のルールがあり、増額を正当とする裁判が確定した後には差額等の精算が問題になります。

話し合いがまとまらなければ、賃料増額の争いは原則としてまず調停を利用します。調停でも合意できない場合には訴訟を検討します。「合意がなければ絶対に上げられない」わけでも、「通知した額を必ず払ってもらえる」わけでもありません。

増額の争いではなく、現在の合意済み家賃も支払われていない場合は、家賃滞納への対応と分けて整理します。

希望額と根拠資料をもとに、交渉の進め方を考える

契約書、現在と過去の家賃、税負担の資料、比較物件、借主とのやり取りをご用意ください。希望額がまだ決まっていなくても、なぜ見直したいかから相談できます。

増額幅だけでなく、段階的な変更や開始時期の調整、空室になった場合の負担なども交渉の検討材料です。長く続けたい賃貸関係なのか、すでに対立しているのかも踏まえて、最初の通知から考えます。

まとめ

まず契約書と過去の家賃改定を確認し、税負担や比較物件など、現在の家賃を見直す根拠をそろえてください。

比較物件は、築年数、面積、設備、用途などが近いものを複数選び、募集賃料だけで決めないようにします。

借主へは希望額、開始時期、理由を具体的に伝え、通知しただけで新家賃が確定したとは扱わないことが大切です。

希望額が決まっていない段階でも、どの資料を集め、どの順序で交渉するか一緒に整理しましょう。

参考資料

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